月がきれい

はい、空キレイ…じゃなかった「月がきれい

anime.dmkt-sp.jp

中学生の恋愛模様を描いたアニメですが

まぁなんていうか、雰囲気アニメ

否、雰囲気だけアニメです

数日前に見終わって既に内容を忘れかけています

 

一般に、恋愛系アニメでも登場人物の内面を深く掘っていくアニメがあると思います

たとえば「クズの本懐」なんかもその一つでしょう

本作はそれとは対局にあって、なんとなーく雰囲気で恋愛模様を描いていく感じ

どちらが優れているというわけじゃありません

ただ2つの要素があるってだけです

 

が、しかし

本作は全てが薄っぺらい

一貫して作品に説得力が欠如しています

彼が彼女がどうして好きになったのか、何を好きになったのか

それが言語化される必要はないんですが、見ている方になあああんにも伝わらない

マジで一つも伝わってきません

「太宰は言った」と主人公がモノローグで何度も口にするようにすべてが借り物

自分の人生をまるで生きていないことが丸わかりです

(それすらも中学生ならやむを得ないのですが)

ついでにBGMでも往年の名曲のカバーが何曲も使われてます

作り手も借り物で誤魔化そうとしている感がありありです

 

また、舞台設定も微妙極まりない

場所は川越ですかね?そんで主人公がお囃子やってたりするんですが

それって何か意味ありました?って問いたい

実在する風習を取り入れときゃいいでしょみたいな感じしかしません

君の名は。からの借り物って言ってもいいです

 

おそらくですね

この作品の意図は、”リアルさ”の淡々とした描写なんだと思います

タイトルの「月がきれい」は夏目漱石のI LOVE YOUの訳からとってますが

つまり、日本人は物事を直接に言葉にのせないということです

だから作中でもLINEの描写を多用したりしてリアルさを追求しているんだと思います

 

しかし、その結果何が起きたかというと

上述したように「とんでもなく薄っぺらい恋愛ごっこ」が出来上がってます

「中学生の恋愛とは薄っぺらいものだ」というのがメッセージならば大当たりですが

おそらくそれを伝えたかったわけではないでしょう

 

たとえば名作「とらドラ」なんかは端から端まであり得ないことだらけです

キャラクター設定から起きることから何から何までね

けど、あのアニメでぐっとくるシーンがいくらでもある

それは極端にカリカチュアされてはいるけど

人の内面の真実性の一片をしっかり掬い取って、それを劇的な(時にコミカルな)ストーリーに組み込んでいるからです

 

本作が何も訴えかけてこないのは、その内面の真実性、言い換えると「この人がよくわからんけど、何かわからんけどすごく好きで、自分が好きだと言われるとこんなにHAPPYなのかよ、もうチクショウ!!」みたいなものを掬い取ることに失敗しているからです

それを言葉にしてもしなくてもどっちでもいいですが

描写だけリアルにしてみても嘘っぽさや安っぽさしかこちらには伝わりません

 

えらく長文になりましたが、こんな感じなのでお勧めしません