彼氏彼女の事情
ぐっと年代が遡りますが、カレカノ
1998年の作品なので、どうしても古臭い表現があります
しかし、前回の「月がきれい」の内容を3話くらいでぶっちぎっていく濃さがあります
なんなら「永遠の点綴」の1エピソードだけでぶっちぎってます
この作品のテーマは「人が人を知るということ」なのだと思います
人が人を知ることの難しさ、奥深さ
全部知ったと思っていたのに、その人の中にはまだ知らない部分があって
しかもそれに触れることはとても難しい
その人間の人間たる営みに真っ向から取り組んだ作品です
その営みとは心理臨床そのものでもあります
相手のことを「わからない」ということに絶望せずに
その「わからない」に留まり続け、相手と交流を続けていく
それこそが心理臨床であり、同時に人が人を理解するということの本質でしょう
この作品について語り始めると、一話一話に言いたいことがでてきてしまうのですが
自分が20年前に見たときにはあんまりピンとこなかったけど
今回見たらしっくり来た場面について。
「シン・カ」前後のエピソードです
主人公二人はずっとすれ違い続けてるんですね、これ
雪乃は有馬を理解したつもりになって、二人の繋がりを感じているけれど
有馬はずっとそこに疑念を抱き続けてるんですね
当時、童貞の私にはそれが十分に理解できなかったわけです
性的な意味でも、心的な意味でも、繋がるとか繋がれないとか
そういったことを体験していなかったので
この描写の意味を掬いあげられなかったんですね
ともかく、すげえ作品なので見て損はないです
エヴァ破のクライマックスシーンのもとになったような場面もありますので
是非どうぞ