メンタライジング・アプローチ入門

 遂に臨床心理学ど真ん中の本を紹介

メンタライジング・アプローチ入門: 愛着理論を生かす心理療法

メンタライジング・アプローチ入門: 愛着理論を生かす心理療法

  • 作者:上地 雄一郎
  • 発売日: 2015/11/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

メンタライジングっていうのは、自分や他人の行動をその背後にある精神状態と関連させて理解する心的行為です

わかりにくいですね?

 

ざっくりといえば、自分はどんな気持ちからこのような行動をしたのか

あの人はどんな気持ちから私にあんなことを言ったのか

それを考えることが「メンタライジング」です

 

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沈黙のパレード

 連休を利用して読んだものがこちら

沈黙のパレード

沈黙のパレード

  • 作者:東野 圭吾
  • 発売日: 2018/10/11
  • メディア: 単行本
 

 

言わずと知れたガリレオの長編です

東野作品は個人的にはわりあいと読んでいる方なんですが

ガリレオシリーズは映像として浮かんでくるので更に読みやすさがありましたね

 

作品全体を通して印象に残ったのは”歯がゆさ”でしょうか

警察の、街の人達の、それぞれの人達の叶わなかった願いが全体から漂っています

そんな中で、湯川だけができることをやろうとします

過去の後悔にも触れながら、今の自分になせることをしようとします

 

私にはそれがなんだか科学者っぽい風情に思えましたね

あるいは臨床家っぽいとこじつけてみましょうか

 

神様のような素晴らしい解決は用意できず

明るい未来は殆ど見えなくて、今より少しだけマシな未来しか望めない

しかし、その未来に向かって淡々と歩を進めるみたいな

 

まぁ、こじつけ感はありますがw

臨床とはそういうものだろうなという感じはします

彼氏彼女の事情

ぐっと年代が遡りますが、カレカノ

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1998年の作品なので、どうしても古臭い表現があります

製作はエヴァを作った庵野監督とGAINAX

しかし、前回の「月がきれい」の内容を3話くらいでぶっちぎっていく濃さがあります

なんなら「永遠の点綴」の1エピソードだけでぶっちぎってます

 

この作品のテーマは「人が人を知るということ」なのだと思います

人が人を知ることの難しさ、奥深さ

全部知ったと思っていたのに、その人の中にはまだ知らない部分があって

しかもそれに触れることはとても難しい

その人間の人間たる営みに真っ向から取り組んだ作品です

 

その営みとは心理臨床そのものでもあります

相手のことを「わからない」ということに絶望せずに

その「わからない」に留まり続け、相手と交流を続けていく

それこそが心理臨床であり、同時に人が人を理解するということの本質でしょう

 

この作品について語り始めると、一話一話に言いたいことがでてきてしまうのですが

自分が20年前に見たときにはあんまりピンとこなかったけど

今回見たらしっくり来た場面について。

 

「シン・カ」前後のエピソードです

GAINAXにしては言語化していないけど

主人公二人はずっとすれ違い続けてるんですね、これ

雪乃は有馬を理解したつもりになって、二人の繋がりを感じているけれど

有馬はずっとそこに疑念を抱き続けてるんですね

当時、童貞の私にはそれが十分に理解できなかったわけです

性的な意味でも、心的な意味でも、繋がるとか繋がれないとか

そういったことを体験していなかったので

この描写の意味を掬いあげられなかったんですね

 

 

ともかく、すげえ作品なので見て損はないです

エヴァ破のクライマックスシーンのもとになったような場面もありますので

是非どうぞ

 

 

月がきれい

はい、空キレイ…じゃなかった「月がきれい

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中学生の恋愛模様を描いたアニメですが

まぁなんていうか、雰囲気アニメ

否、雰囲気だけアニメです

数日前に見終わって既に内容を忘れかけています

 

一般に、恋愛系アニメでも登場人物の内面を深く掘っていくアニメがあると思います

たとえば「クズの本懐」なんかもその一つでしょう

本作はそれとは対局にあって、なんとなーく雰囲気で恋愛模様を描いていく感じ

どちらが優れているというわけじゃありません

ただ2つの要素があるってだけです

 

が、しかし

本作は全てが薄っぺらい

一貫して作品に説得力が欠如しています

彼が彼女がどうして好きになったのか、何を好きになったのか

それが言語化される必要はないんですが、見ている方になあああんにも伝わらない

マジで一つも伝わってきません

「太宰は言った」と主人公がモノローグで何度も口にするようにすべてが借り物

自分の人生をまるで生きていないことが丸わかりです

(それすらも中学生ならやむを得ないのですが)

ついでにBGMでも往年の名曲のカバーが何曲も使われてます

作り手も借り物で誤魔化そうとしている感がありありです

 

また、舞台設定も微妙極まりない

場所は川越ですかね?そんで主人公がお囃子やってたりするんですが

それって何か意味ありました?って問いたい

実在する風習を取り入れときゃいいでしょみたいな感じしかしません

君の名は。からの借り物って言ってもいいです

 

おそらくですね

この作品の意図は、”リアルさ”の淡々とした描写なんだと思います

タイトルの「月がきれい」は夏目漱石のI LOVE YOUの訳からとってますが

つまり、日本人は物事を直接に言葉にのせないということです

だから作中でもLINEの描写を多用したりしてリアルさを追求しているんだと思います

 

しかし、その結果何が起きたかというと

上述したように「とんでもなく薄っぺらい恋愛ごっこ」が出来上がってます

「中学生の恋愛とは薄っぺらいものだ」というのがメッセージならば大当たりですが

おそらくそれを伝えたかったわけではないでしょう

 

たとえば名作「とらドラ」なんかは端から端まであり得ないことだらけです

キャラクター設定から起きることから何から何までね

けど、あのアニメでぐっとくるシーンがいくらでもある

それは極端にカリカチュアされてはいるけど

人の内面の真実性の一片をしっかり掬い取って、それを劇的な(時にコミカルな)ストーリーに組み込んでいるからです

 

本作が何も訴えかけてこないのは、その内面の真実性、言い換えると「この人がよくわからんけど、何かわからんけどすごく好きで、自分が好きだと言われるとこんなにHAPPYなのかよ、もうチクショウ!!」みたいなものを掬い取ることに失敗しているからです

それを言葉にしてもしなくてもどっちでもいいですが

描写だけリアルにしてみても嘘っぽさや安っぽさしかこちらには伝わりません

 

えらく長文になりましたが、こんな感じなのでお勧めしません

学園黙示録ハイスクールオブザデッド

すっかりアニメばっかりですが

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原作者の方が亡くなっているので、未完のままのことが確定しているんですね

とても残念です

 

内容としては正統派ゾンビパニックアニメ

これ以上のゾンビアニメは存在しません(断言)

エロもあざとく出てきますが

あざとすぎてパニックという作品のテイストを壊しません

 

極限状況下で次々と醜悪に露呈していく人間の本性

それとともに浮上していく登場人物たちの内的な葛藤や衝動

これらがうまいこと噛み合って

見る側を終始スリリングな気分にさせてくれるそんな作品です

 

ヒロインに対して「生々しい」と主人公が吐露してますがまさにそのとおりで

その生々しさも許容できるように感じたとしたら

それはこの作品の世界観に主人公とともにどっぷりと染まってきている証拠です

クズの本懐

最近のアニメです。クズの本懐

anime.dmkt-sp.jp最近らしくボカロ風オープンエンド

というか、歌い手ですよね

 

あと、声優さんが良かったですね

最初主人公は花澤さんかと思いましたが、別の人でした

戸松さんも個人的には大好きです

 

変な表現ですが、この作品の声優さんたちはみんなリアル系な感じがします

釘宮さんがスーパーロボット系なら、この作品の人達はリアルロボット系

奇抜さは無いものの深みがあるタイプ

 

内容としては、思春期の治療と人格障害の治療って感じですかねw

 

安易に最後にくっつけなかったのは好感が持てます

そこでくっつくと、結局「自分自身に感じられる愛という衝動こそすべて」的な

話になるんだと思います

しかし、その前段階で散々その衝動に振り回されている姿を描いているわけで…

そうではなくて、その衝動を抱えて別の選択をするという

成長の途を本作は示しているのでしょう

 

そしてまぁ力動的にもそれは正当な成長過程なんではないでしょうかね

 

茜さんに関してはそんな簡単に変わるかい!という気持ちはありますが

個人的にはかなり楽しめた作品

クラナドが20倍に希釈したカルピスなら、こっちはエスプレッソです

濃ゆい

 

CLANNAD

こんにちは

今日話したいのはCANNADです

anime.dmkt-sp.jp

After Storyも見てます

anime.dmkt-sp.jp

半分ネタのようですがクラナドは人生

ということで有名ですね

 

ですが、はっきり言ってネガティブな感想になってしまうので、さくっとまとめます

 

長いです!長い!2期まで見て44話は長い!しかも単調

同じくらいの長さって例えばコードギアスとかだと思うんですが

時間感覚としてはそんなもんじゃないです

なげーよ、人生かよ

ってレベル

 

あと何も起こりません。上にも書いたように単調

ずっとどうでもいい(とこっちには思われる)ことをやってます

 

どうでもいいようなことしか起こらなくて

たまに楽しいこととか悲しいことが起こる

そうか、これが人生ってことかと思います

 

あと古臭い

wikiを見たら2007年だっていうんでちょっとびっくり

プラテネスの4年も後なのにはるかに古臭く感じられる

KEY独特のギャルゲー感があるのが、より時代を感じさせてしまうんでしょうね

 

40話以上もかけて貼った伏線も今一つよくわからんままだし

出てくるキャラクターが全員ぶっ飛んでるのもどうかと思うけど

そういうのはもう全部いい

 

一つだけ

悲しいことが起きて盛り上げようとすんのはやめてほしい

身体の具合が悪い奴を外に連れ出してはいけない

やるならやるでそうせざるを得ない必然性を持たせないと

見てるこっちは激しく冷めてしまう